平成16年(2004年)度第1回市議会定例会(3月議会)
会期:3月4日から3月23日

おぜき栄子市議の一般質問を掲載します.
段落や区切りは編集局でつけました.2004.03/16


日本共産党を代表し市長、並びに関係部局にお尋ねいたします。

1.足利銀行破綻に対する対応について

 昨年の11月、足利銀行を破綻により、この3月決算を前に「新しい経営陣のもとで取引先企業が厳しく査定されるのではないか」「大規模なリストラが行われるのではないか」「受け皿金融機関はどこになるのかも心配」−県内では、足利銀行への出資が紙くず同然となった怒りとともに今後の行方に大きな不安が広がっています。足利商工会議所と足利市が実施した2004経済見通しアンケート調査結果にも、足銀に何らかの取引を行っている企業は回答企業の77%であり、うち48%がメインバンクと回答するなど足利銀行が当市における金融機関の中枢を担っていることが裏付
けられ、今後の取引条件変更や、株式による損失を懸念する声があがっています。

 足利銀行の破綻の原因は、大銀行を優遇する一方で、中小企業や地域経済になくてはならない地域金融機関を淘汰し続けてきた政府、金融庁です。

 大銀行支援のための預金保険機構にかかる政府保証枠は、小泉内閣のもとで2002年度の53兆円から67兆円、さらに来年度予算では約70兆円に増加させようとしています。また、大企業とりわけ大銀行のリストラ支援法である「産業再生法」によって、みずほフィナンシャル・グループなど5銀行グループが、これまで650億5000万円の減税措置を受け、33,000人もの人員削減を実行・計画をしています。その一方で、小泉内閣による強引な「不良債権早期最終処理」のもと、地域金融機関はかつてない規模で破綻を続けています。

 2001年4月26日の小泉内閣発足以来、2つの第2地方銀行、13の信用金庫、38の信用組合が破綻させられました。そしてついに小泉内閣は、昨年11月29日、栃木県内などで圧倒的なシェアをもち地元経済になくてはならない地方銀行、足銀を金融庁とそれに手を貸した鑑査法人が破綻に追い込みました。

 おそれた通リ、今年1月に入り、足銀をメーンバンクとしていた菓子販売チェーンが宇都宮地裁に自己破産の申し立て、負債総額13億円、群馬県館林に本社を置くドラッグストアチェーンが東京地裁に民事再生法の適用を申請、負債総額42億円、このうち25億円が足銀からの借り入れでした。

 足利銀行と取引がある日光地区のある旅館経営者は、「取引先が現金取引への変更を言ってきた」とこれまでのように足銀の手形では商品を納められないとのことです。同様に手形取引を断られたと言う声は、県内だけでなく埼玉県北部、群馬県内からも寄せられています。ところが、金融庁は適切な対応を取ろうとしません。

 これ以上の信用収縮を防ぐには、取引先などに一時国有化、中でも足銀との取引を今までと同様に続けるように明確にしめすことが必要です。同時に、税金の滞納があると利用が認められないなど、ハードルが高い現在のセーフティネット保証を思いきって改め、これまでの返済が滞っていない限り認定が受けられるようにするべきです。融資額の拡大などにも、国が必要な資金をだすように要請すべきです。

 今回の足銀の破綻によって、責任のない取引先や従業員、善意の出資者が泣かされることは許されません。バブルにおどった旧経営陣とともに、厳しい検査によって破綻に追い込んだ金融庁の責任や態度を急変させた鑑査法人の責任を明確にすることは、善意の出資者を保護するうえでも、国に取引先企業や地域経済を守らせるうえでも、絶対に必要です。

 地域金融機関の本来の役割は、地域に資金を供給し、生産、流通、消費などの地域経済を活性化させるところにあります。貸し渋りなどで地域経済をこわす金融機関から、国民の暮らしと中小業者を育てる金融機関に変えるための金融機関の責任と役割を明らかにするための法整備が必要です。地方自治体が自分の地域の経済と金融を支援・育成することは、地方分権の精神から見てもあたり前ですし、地域経済との関係で金融機関を評価する条例の制定は、現行法のもとでも可能です。また、あらゆるサービスにおいて、国民の利便性と必要な資金などの要求に公正かつ安定的に応える責務を金融機関が負うことを明確にする必要があります。わが党が提案している地域金融活性化法案を国に実現するよう働きかけるべきです。

以上の状況を踏まえ市長にお伺い致します。

(1) 足銀破綻で影響を受けたすべての債務者が受け皿銀行に引き継がれるように債務者区分についての情報を求め、市内の債務者の実態を把握するべきではないでしょうか。
(2) セーフテイ?ネット保証の認定実績と融資の実行の現状はどうなっているのでしょうか。
セーフティーネット保証の認定後、融資を受けられなかった事例は何件あるのでしょうか、
またその理由は何でしょうか。また認定を受けられなかった事例は何件あるのでしょうか。
認定実務の迅速化にどう対応しているのでしょうか。認定から融資を受けるまで、どのくらいの日数がかかっているのでしょうか。
借換保証の活用実績はあるのでしょうか。
足銀破綻後、市の制度融資の利用状況はどうでしょうか.特に足銀を通じた活用実績は、どの位あるのでしょうか。
(3) 市民や市内事業者による足銀への預金高と貸し出し実績は、変化しているのでしょうか。預貸率の推移はどうなっているのでしょうか。
(4) 足銀問題相談窓口での相談件数と内容はどうなっているのでしょうか。窓口をさらに充実させるべきではないでしょうか。
(5) 新経営陣に対し、地域金融機関としての役割を果たすことを原則に以下の項目を要請するべきではないでしょうか。
借り手である地元中小企業の企業再生に全力をつくし、貸出金利、手数料などの引き上げを止めること。
店舗数の縮小、銀行員のリストラを行わないこと。
本来のリレーションシップバンキング(借り手の経営者の資質や事業の将来性を評価して融資を行う)を重視すること。
(6) 指定金融機関の基準と公金取り扱いの基準をつくるなど指定金融機関としての責任と役割を明らかにするために条例化が必要ではないでしょうか。
(7) 市が5000万円の税金を投入して増資をしたことに対する責任と、市が増資をしたことにより、市民の増資協力につながり、結果として市民に大きな損害を与えた責任を行政としてどう責任を取るのでしょうか。

2.国民健康保険税の引き上げについて

 長引く不況、失業、倒産、ホームレスの増大など国民の生活悪化がかつてない深刻さで進んでいます。健康で安心した生活を今ほど求められている時はないと思います。こんな時だからこそ自治体は、地方自治法第2条市民の安全と健康、福祉を守るためにあらゆる手立てを講じなければならない責務があるのではないでしょうか。

 足利市と同規模の人口15万から20万人の市(40市)と比較して、国保会計はどの様になっているでしょうか。

 足利市での、一般会計繰り入れ金の、歳入に占める割合は小山市2.4%に続いて3.4%と3番目に低くなっています。 資格証を発行していない自治体は、立川市をはじめ6市もあり1桁、2桁と少なく抑えている自治体が10市もあります。資格証を発行していない熊谷市は、短期証211件で、一般会計繰り入れ金9.1%、応能対応益割70:30(15年度)となっています。同じく資格証を発行していない日野市は、短期証252件、一般会計繰り入れ金15.4%、応能割72.6:応益割27.4%になっています。姉妹都市鎌倉市も資格証は、発行していません。

 足利市は、今回の引き上げで、所得に関係ない応益割を8%増やし、応能割62:応益割38になり、低所得者ほど負担が重くなる引き上げとなります。 この熊谷市と日野市とも一般会計繰り入れを行い、加入者全員に保険証を発行し、自治体独自の努力が伺えます。

 今回の引き上げが、市民にどのような影響を与えるのでしょうか。特に15年度は、65歳以上の高齢者の公的年金控除17万円廃止となり、影響を受ける高齢者は、23,946人もいます。年金は減らされ、さらに保険料の引き上げではダブルパンチです。 保険料の引き上げは、当初予定より引き下げられましたが、一人当り7,200円、世帯当り、8,400円もの引き上げです。今回の引き上げで、均等割24,000円、平等割26,400円となり県内で1番高くなりました。世帯に与える影響額も、1万円から4万円引き上げられる世帯が29,100世帯で86.8%にものぼります。中でも、3万円から4万円も引き上げられる世帯が12,144世帯36.2%と1番多くなっています。

 加入者で自営業を営むAさんの場合は、7人家族で今年度の国保税378,100円、介護納付金は、44,900円です。今回の値上げで、51,600円もの増税です。 所得が、2,054,200円で、このうち国保税と介護納付金を合わせるとじつに負担総額が474,600円となり、所得の約4分の1を負担することになります。「妻のパートの収入と高齢の父親のわずかな年金の支援で何とか繋いで来た。仕事の受注も減り、これ以上の負担は耐えられない」と訴えています。

 政府自民党は、医療費の国庫負担を削減し、国民の負担を増大させ、滞納者を増やし、国保会計を赤字に追い込んできました。さらに滞納者への罰則強化として保険証の取り上げを義務化し、社会保障制度を危機に追い込んでいます。 そのような中で、国の圧力に屈せず出来る限り一般会計から繰り入れを行い、加入者全員に保険証を発行してきた自治体もあるのです。今回一般会計から、前期高齢者等対策分として2億円計上しましたが、繰り入れを出来る限り行い、応能割応益割の全面的な見なおしを行うべきではないでしょうか。 保険証を全員に発行し、徹底した担税能力に応じた徴収をおこなうべきです。以上の状況を踏まえ、関係部局にお尋ね致します。

国保法に則り、社会保障の原則に基いて保険証は、加入者全員に発行すべきではないか。
実態を把握し、担税能力に応じた徴収を行うべきではないか。
県負担を増やし、医療費の国庫負担をもとの水準の45%に戻すよう国や県に緊急に働きか  けるべきではないか。

3.シックスクール

 12月議会でも取り上げましたが、学校での有害化学物質の使用により、健康被害を受けるシックスクールの事例が増加しています。一日の3分の1を過す学校で保護者が感知できないまま有害化学物質の影響を子ども達が受け続けているといえます。しかも、日本建築学会の「空気清浄・建築憲章」に述べられているように、厚生労働省の指針値は、あくまで健常者の健康影響に着目したものであり、化学物質過敏症の人たちへの影響を考慮したものではありません。また、これらの指針値は毒性学に関する知見から人体に対する影響を考慮して設定されたものであり、実際の居住環境での曝露との関係は必ずしも明らかにされていません。

 このような状況が続けば化学物質過敏症や、アトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎、結膜炎などの持病がある子どもたちは症状の悪化や、健康な子どもでも、いつ発症してもおかしくない状況になっているという専門家の意見もあります。

 私は12月議会で取り上げた以降、いくつかの学校を訪問し濃度調査の内容について聞き取り調査を行いました。ある学校では、「調査日の前日に該当教室の窓を開け、空気の入れ替えを充分に行うよう教育委員会から指導があった」とのことでした。特別教室の場合は、特に授業の無い場合は当然のことながら窓は閉められており、子ども達はその閉め切った部屋に授業のときに入るわけですから、今回の調査結果には現れないもっと高濃度の科学物質の影響を受ける可能性があります。 前日から換気をするやりかたは、調査日のための調査になり、実態に即した調査結果が出るはずもなく、問題の無い結果を出そうとする意図が見えます。子ども達が日常的に学習している状態がどうなっているのかが重要であり、これに即した調査をやりなおすべきだと思います。

TVOC(総揮発性有機化合物)は温度により濃度が変化し、室温40℃では20℃に比べ4倍から9倍に上昇し、夏季には高濃度となり、大阪府立公衆衛生研究所による乗用車での車室内の調査ではホルムアルデヒドが指針値に入るまでに7年、TVOCが4年はかかるだろうというデーターもあります。11月の調査結果では基準を超える教室がなかったとのことですが、夏になれば、また高濃度のホルムアルデヒド等が教室に充満することになります。継続的な調査と併行して吸排気式の換気扇の設置が必要です。特に締め切り状態のコンピューター室の換気扇の未設置のところは、早急に設置するべきです。

また、ワックスについては、有機リンの入ったワックスが使われている訳ですが、ある種の有機リン化合物は毒ガスとしても使用されております。さらに有機リンはシックハウスや科学物質過敏症、子どもの行動障害の原因物質ではないか、とも言われています。

以上の状況を踏まえ、教育次長にお伺い致します。

昨年の11月に行われた再測定の結果では、調査した全ての教室で基準値以下の数値が出ていますが、化学物質濃度は気温により大きく変化するため、全教室での定期的な測定、全教室への換気扇の設置や、高温環境下での放出の促進などを急いで行うべきではないでしょうか。
毛野小学校、けやき小学校については新築直後に子どもが入るようになっていますが、新築直後は化学物質の放出濃度 が高くなることが懸念されるため、その対応策をどのように行うのでしょうか
床ワックスについては、有機リンを含まないワックス剤に切り換えるべきではないでしょうか。
昨年の調査結果を保護者に公表すべきではないでしょうか。

4.議案第6号,男女共同参画推進条例について

前文に女子差別撤廃条約を重視し、憲法に基く個人の人権尊重(母性の尊重を含
む)を入れるべきではないでしょうか。
審議会委員15人のうち何人を公募とするのでしょうか。

5.議案第10号財産の処分について

市民の財産である旧東小学校と白歐大学足利中学を相互譲渡により、(仮称)セントラル・コミュニティプラザ基本計画案が出されていますが、これに対して地域住民の意見をどの位反映させたのでしょうか。また、この計画案が、「足利学校こだわりの街づくり」に相応しいものになっているのでしょうか。

6.議案第13号、足利市国民健康保険条例の改正について

今回の保険税の引き上げで、さらに滞納者が増え資格証、短期保険証の発行が増え
るのではないでしょうか。
実態に見合った滞納対策を講じなければ、市民負担を押し付けるだけではないで
しょうか。

7. 議案第16号足利市飼い犬猫のふん害等の防止に関する条例の制定について

この条例を作成に当ってどのくらいの論議を積み重ねてきたのでしょうか。

8. 議案第17号足利市研修センター条例等の改正について

財団法人足利市体育・文化振興会と財団法人足利市緑化・ 公園管理協会との統
合は、全く異業種の法人の統合となりそれぞれの特殊性を活かした木目の細かい行届
いたサービ スができるのでしょうか。
この統合に伴い、何人が移動、退職となるのでしょうか。また、どこの分野が人
員削減されるのでしょうか。

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